角避比古神社 現存する湖西の場所

角避比古神社

角避比古神社(つのさくひこじんじゃ)は、遠江國浜名郡にあった神社です。

浜名湖周辺にある名神大社はこの神社だけ!

名神大社とは『素晴らしい神社』のことで、その他の神社は小社と呼ばれています。

しかし、角避比古神社は名神大社という高い社格を持ちながら、一ノ宮ではありません。

小國神社

一方、遠江國一ノ宮と言えば小國神社です。

でも、小國神社は『一ノ宮』でありながら、大社ではなく『小社』です。

つまり…

小國神社   一ノ宮なのに、小社…
角避比古神社 一ノ宮でないが大社…

何か変ですよね??

そんな謎多き角避比古神社の真実を、今回も写真と共に解き明かして行きます。

湊神社

角避比古神社(つのさくひこじんじゃ)は、遠江國浜名郡にあった神社です。

浜名群にある…ではなく『あった』です。

疑問

では、どうして『あった』なのかというと…大津波で流されたからです。

そして、その後どうなったのかが不明のまま現在に至っています。

なので『あった』なのです。

論社は3つ

鳥居

現在、角避比古神社の論社は3つ。

論社とは『たぶん…この神社なんじゃね?』的なものです。

湊神社-拝殿

湊神社も、角避比古神社の論社の1つです。

鎮座地はJR東海道本線・新居町駅より徒歩約15分。

湊神社の社伝によれば、数度の遷座の末に、現在地に遷座したと伝えられています。

鎮座地が湊(みなと)の近くにあることから湊神社と称されるようになりました。

湊神社-本殿

ご祭神として…

須佐之男命(スサノオ)

をお祀りしています。

そして、この湊神社が名神大社に列せられた角避比古神社かというと…違います。

名神大社に行かれると分かると思いますが、名神大社には特有の神気があるものです。

湊神社-摂社

ですが、ここでそれを感じる事は出来ませんでした。

もちろん、名神大社特有の神気の話だけで、湊神社はもちろん良い神社ですよ~

諏訪神社

諏訪神社-鳥居

諏訪神社も角避比古神社の論社の1つです。

鎮座地はJR東海道本線・新居町駅より徒歩約20分。

諏訪神社-手水舎

雰囲気ばっちりな手水舎。

諏訪神社-拝殿

小高い丘の上にあり、簡素な造りながらも、東京の神社よりもよほど良い神社です。

諏訪神社-本殿

ご祭神として…

建御名方命(長野の諏訪大社の神さま)

をお祀りしています。

諏訪神社-摂社・末社

摂社・末社も沢山あります。

諏訪神社-ご神木

ご神木も素晴らしい♪

ただし、別の神社(猪鼻湖神社)の後裔だと諏訪神社自身が自称しています。

また、この諏訪神社も名神大社特有の神気は感じられませんでした。

細江神社

湊神社-遙拝所

別途、細江神社という論社もあります。

この神社の社伝では…

大津波で角避比古神社は浜松市西区へ漂着。

そこに仮宮が設けられたものの、津波によりまた流され、流れ着いた場所に仮宮を造営。

その後、正式な社殿が作られたのが細江神社です。

角避比古神社は今なお健在する

湊神社-社伝

湊神社も、細江神社も、大津波で流れ着いた場所に再建されたものです。

これが社殿そのものが流れ着いたのならば、それは本物でしょう。

でも、大津波である以上、社殿のごく一部が流れ着いただけと考えるのが自然です。

諏訪神社-社伝

また、諏訪神社も別社を自称しているので、ここも角避比古神社ではないでしょう。

その他にも我こそが!と自称している神社もありますが、根拠に乏しいものばかり…

そのため、角避比古神社は今なお『あった』という扱いのままなのです。

昔の浜名湖

現在の浜名湖は今切口(浜名湖大橋の下)を経由して湖水が太平洋に流れてます。

今切口とは『自然のダム』みたいなものと、お考え下さい。

現在、今切口は完全に口を開き、常に湖水は玄界灘(太平洋)に流れています。

角避比古神社

ですが、かつて今切口は頻繁に開閉していたのです。

ようは、浜名湖の湖水は太平洋に流れたり、流れなかったりしていた、ということです。

浜名湖の今切口が閉じれば、湖水はあふれ、湖岸に水害を発生しました。

その逆で今切口が閉じれば、湖水は流れて、湖岸は豊作になりました。

漁業

この豊作は湖と海からもたらされるもので、人々は今切口の開閉を…

津(浜名湖と太平洋)
幸(農作と漁業の幸)
彦(男の神)

の神意であるとし…

津の幸彦(ツノサチヒコ)

を祀る角避比古神を創建。

さらに、朝廷は浜名湖に鎮座する津の幸彦を重視し、名神大社に列しました。

角避比古神は津の幸彦の神にして、湖口の開塞を知りて、民の幸福を知ります神と云義にて、実は水門の功徳を称へ奉れる御名ならん。
(特選神名牒)

明応の浜名湖

大地震

1498年(明応7年)明応地震が発生!

マグニチュードは8.4と、東日本大震災に匹敵するレベル!

別名『南海トラフ巨大地震

巨大なエネルギーにより、今切口が崩壊!

大津波

発生した大津波が社もろとも飲み込みます。

しかし、今切口が崩壊したことで湖位は海に流れ、常に安定したものとなりました。

その後、角避比古神社を損失した遠江國は、小社である小國神社を一ノ宮に格上げ。

これが…

大社だけど、一ノ宮でない(失殿)
小社だけど、一ノ宮である(健在)

の理由です。

現在の浜名湖

角避比古神社を名乗る神社は多く存在しますが、オリジナルはもう存在しません。

その為、今なお鎮座地不明のままです。

浜名湖大橋の西側に旧鎮座地とされる場所もありますが、断言が出来ません。

しかし、角避比古神社は健在です。

角避比古神社の正体

ご利益

我々は神社の本殿にのみ神がいると誤認しています。

ですが、そんなことはありません。それは、ただの思い込みです。

神はありとあらゆる所に存在しています。

当然、角避比古神社(津幸彦)も社殿だけにいる訳ではありません。

浜名湖

角避比古神社は今なお健在です。

何故ならば、浜名湖そのものが、当たり前が当たり前であり続ける浜名湖の日常こそが、
角避比古神社なのだから。

静岡シリーズ

角避比古神社の写真ギャラリー

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角避比古神社へのアクセス

角避比古神社(旧跡地:推定)

〒431-0302 静岡県湖西市新居町新居9-1

次回予告

出雲大社

奈良から始まり、京都、岐阜、愛知、静岡と進めてきましたが…

中国地方(岡山、鳥取、島根)の写真整理が終わったので、次回から山陰山陽特集です♪