河口浅間神社

河口浅間神社

河口浅間神社(かわぐちあさまじんじゃ)は富士河口湖の湖畔に鎮座する神社です。

富士山(信仰の対象と芸術の源泉)として、世界文化遺産に登録されるご聖域!

そんな素敵な河口浅間神社の歴史や秘話を、今回も写真と共にお送り致します♪

そして、今回は『甲斐國・名神大社の謎』の最終回となります。

河口浅間神社の見どころ

河口湖

河口浅間神社へは、富士急行線河口湖駅から富士急バスに乗り、河口郵便局前で下車。

そこから神社までは徒歩約5分ほどですが、その途中にある河口湖は大変美しいです。

鳥居

鳥居が見えてきました。

朱塗りの鳥居も素敵ですが、それより以上に背後の巨樹に心が惹かれます。

河口浅間神社では大杉で有名だそうですが、入り口の時点でもう感動しちゃいました。

波多志神社

鳥居の先に、立派な杉並木に囲まれた参道があります。

樹齢800年以上の歴史があり、幹回り約7m、高さ約45mの巨木たち

そして、中央にあるのは小祠の波多志神社。

富士山大噴火の際、祝として大噴火を鎮めた伴直真貞を祀っています。

随神門

随神門

随神門の注連縄は、氏子達が手ずから育てた稲の藁で編まれてます。

また、門の左右には神聖な境内を守護する…

豊石窓神(とよいわまどのかみ)
櫛石窓神(くしいわまどのかみ)

こちらの二柱が鎮座されてます。

拝殿

拝殿

随神門の先に、世界遺産の構成要素の一つ、河口浅間神社の拝殿があります。

派手さはありませんが、落ち着いた意匠で、それが神聖さを感じさせてくれます。

さらに、拝殿にあるお札や、絵馬等からも、長き歴史が伺えます。

本殿

本殿

拝殿内部に入ると、目の前にご本殿があり、ここからお参りすることが出来ます。

なお、河口浅間神社では…

浅間大神(あさまのおおかみ)

こちらの神さまをお祭りしています。

本殿・側面

拝殿を出て、社殿背後に回ると、本殿全体が見えてきます。

唐破風付きの向拝を備えた朱塗りの社殿で、とっても豪華!

平成27年に改修工事が行われ、木部修理や、金箔、漆の塗り直しが行われました。

山宮社

山宮

河口浅間神社は、もともとは境内の奥にある高台に鎮座していました。

俗に言う『元宮』ですね。

その後、現在の場所へと遷座したのですが、この最初にあった所にあるのが山宮社。

さらにここから登っていくと『奥宮』である母の白滝神社があります。

七本杉

七本杉

境内には七本の大杉があり、いずれの大杉も樹高40m以上の巨木で、樹齢は1200年超え!

これだけの巨木が1箇所に集中しているのはとっても珍しいです。

7本杉

また、すべての大杉に名前があり…

御爾(みしるし)産射(うぶや)
齢鶴(れいかく)神綿(しんめん)
父母(ふたはしら:二本で一つ)
天壌(てんじょう)

これらは七本杉と呼ばれ、富士山に向かって植えられています。

河口浅間神社は名神大社なのか!?

大噴火

846年(貞観6年)富士山が最大級の大噴火を起こします。

溢れ出た膨大な溶岩流が、麓にある広大な湖『剗の海(せのうみ)』を埋没。

大噴火は2年以上も続き、その間に溶岩流は隣接する河口湖にも襲いかかろうとします。

大和朝廷はこの大災害を恐れ、原因を占い、駿河國・浅間大社の祭祀怠慢と判断。

延喜式神名帳

そこで祭祀を篤くするために、甲斐國側にも浅間明神の祠を創建。

大和朝廷は駿河國と甲斐國の祭祀によって、大噴火を抑えこみます。

この浅間明神の祠こそ、延喜式神名帳に載る名神大社・浅間神社なのです。

名神大社・浅間神社の行方

が、しかし…

富士山

現在、延喜式神名帳に載る浅間明神の祠が、どの浅間神社なのか分かっていないのです。

そこで、多くの研究者が論議を重ね…

一宮淺間神社:西八代郡市川三郷町
浅間神社  :笛吹市一宮町
河口淺間神社:南都留郡富士河口湖町

この3社に絞り込みました。

甲斐國一ノ宮浅間神社

最有力は、河口湖から離れた場所に鎮座する甲斐國一ノ宮浅間神社(笛吹市)

笛吹市の浅間神社を名神大社とする根拠は…

笛吹市は富士山こそ見えないが、
國府に近く、文化レベルも高い。
未開な山奥にある河口湖と違う。

だから、甲斐國一ノ宮浅間神社こそ神名帳の名神大社である。

この学説が主流となっています。

学説はひっくり返る

学説

ただ、引っかかることがあります。

それは…

笛吹市は國府に近い = 文化的な街
河口湖は不便な山奥 = 未開の土地

です。

田舎

まず、甲斐國一ノ宮浅間神社から國府までは5キロ以上も離れています。

しかも、原野にポツンとあり、道路もなく、相当ヘンピな場所です。

これでは、とても文化レベルが高かったとは言えません。

それに対して、河口湖はどうでしょうか?

港街

実は、河口湖には『鎌倉街道』の前進となる幹線道路が整備されていました。

北陸道と東海道を結ぶ一大中継地点であり、多くの人が往来する経済圏でもありました。

その為、未開で不便という理由は完全に覆る高い文化域があったのです。

そして、朝廷にとっても経済的に重要となる河口湖に溶岩流が襲ってこようとしたら…

恐怖に駆られた人の心理

これだけではありません。

火災

浅間明神の祠は、当時の人にとって大噴火を沈める『最後の切り札』です。

浅間明神の祠こそが最後の希望なのです!

それを、今、溶岩流が襲ってきそうな時に、随分と離れた笛吹市で使うでしょうか?

最後の切り札を、最後の砦となる地で使う。これが普通ではないでしょうか?

祈り

当然、朝廷側にとっても経済的に重要となる河口湖を絶対に失いたくはありません。

その為、溶岩流とは無関係の笛吹市でなく、最後の切り札を河口湖で使用したハズです。

富士山に坐すの神の御名

7本杉

富士山に坐す神の御名は浅間大神です。

木花開耶姫命は、浅間大神をもてなす為に、麓で待っている神に過ぎません。

事実、静岡にある富士山本宮浅間大社でも、麓では木花開耶姫命を祀っています。

河口浅間神社-境内

甲斐國にある浅間神社もしかり。

一宮淺間神社(市川):木花咲耶姫命
甲斐國一ノ宮浅間神社:木花開耶姫命
北口本宮冨士浅間神社:木花開耶姫命

これらの神も、すべて浅間大神を待っている木花開耶姫命に過ぎません。

それに対し、富士山大噴火をもたらす神は、浅間大神です。

この浅間大神を恐れ、称え、祭るからこそ、浅間の祠なのです。

そして、この浅間大神を創建以来からずっと祭ってきたのが…

河口浅間神社

河口浅間神社です。

そうです!

延喜式神名帳に載る『浅間明神の祠』とは、河口浅間神社のことなのです。

美麗石

美麗石

河口浅間神社には、美麗石(ひいらいし)と呼ばれる古社があります。

この美麗石こそが、浅間明神を初めて祀った古代祭祀の石閣であり、真の名神大社です。

現在は社としての役割は果していませんが、その神威は今なお健在です。

何故なら…

河口湖からの富士山

創建されてより約1100年以上もの間、ずっと河口湖を守り続けているのだから。

甲斐國・名神大社の謎 完

河口浅間神社の写真ギャラリー

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河口浅間神社へのアクセス

河口浅間神社

山梨県南都留郡富士河口湖町河口1

富士急行線河口湖駅から富士急バスに乗り、河口郵便局前で下車。徒歩5分ほど。