籠神社 ニギハヤヒの正体
籠神社(このじんじゃ)は、京都府宮津市に鎮座する神社。
かつて、伊勢神宮があった元伊勢の一社で、他社を寄せ付けないハイレベルな神社!
さらに『天照国照彦天火明櫛玉饒速日尊』をご祭神とするスゴい神社!
そんな籠神社にまつわる『古代史の迷宮』に踏み込んでみたいと思います。
饒速日尊の正体
籠神社は日本三景の一つ『天橋立』の近くに鎮座する神社。
ちなみに日本三景とは…
京都府 天橋立
広島県 宮島・厳島神社
天橋立は約3.6㎞の細長い砂州(砂の道)で、両側に海が広がる美しい自然の造形。
砂州には約8000本もの松が生い茂っており、徒歩や自転車で渡ることもできます。
ただし、大きすぎるため、上空から見ないと本当の良さが分からなかったりします(笑)
京都丹後鉄道天橋立駅から路線バスに乗り、神社前で降車すると到着。
この神門から先は、彦火明こと、饒速日尊が鎮座する聖域。
かつて、伊勢神宮でもあった神秘的な境内!
その境内が…
何と!
何と!!
何と~!!!!!
撮影禁止~(笑)
写真を載せられないため、神社紹介ブログは難しいです。
その代りと言っては何ですが…
皆大好き饒速日尊の正体に迫って参ります!
饒速日尊の把握
饒速日尊を正体に迫る前に、まず饒速日尊がいかなる人物なのかを把握しておきます。
最初は、饒速日尊の系譜から。
天照大神の御子・天押穂耳尊は栲幡千千姫を妃として、二柱の男児を生んだ。
兄は、饒速日尊
弟は、瓊々杵尊
饒速日尊は、天照大神の孫。
つまり…
天孫です!
しかも、皇族の祖である瓊々杵の兄なので、瓊々杵よりも『格上の天孫』
その饒速日尊は…
東の方に良い土地に、天の磐舟に乗り、降臨した神がいる。その神は饒速日尊であろう。そこに行って都をつくるにかぎる
弟の瓊々杵尊が九州に降臨したのに対して、饒速日尊は大和國に降臨しています。
その後、瓊々杵尊の孫で、饒速日尊と同族の神武天皇が東征を仕掛けます。
つまり、分家が本家の領土を狙った…ということですね。
ただし、これらは第三者から見た饒速日尊の情報でしかありません。
そこで、饒速日尊自体の活躍を見てみます。
饒速日尊の活躍
まずは、古事記から。
瓊々杵尊の末裔である神武が東征をした際、長脛彦から激しい抵抗を受けます。
その時、神武の前に饒速日尊が突如現われ、いきなり降伏宣言!
神武天皇に國を譲ることになります。
神武東征には、数多くの神話がありますが、饒速日尊が活躍するシーンはこれだけ。
たったこれだけなのです。
その際、饒速日尊が、なぜ格下の神武天皇に國を譲ったのかの説明は一切ありません。
では、日本書紀はどうかというと…
饒速日尊が長髄彦を斬ったこと以外、内容は古事記と同じです。
つまり、ほとんど情報がないのです。
次に、古事記・日本書紀と並ぶ、聖典三部の先代旧事本紀を見てみます。
先代旧事本紀によると、神武東征の時、既に饒速日尊は亡くなっていました。
ここは古事記・日本書紀とは異なりますが…
饒速日尊と神武天皇とは三世代も違うので、亡くなっている方が整合性が取れます。
※饒速日尊の弟である瓊々杵尊の『ひ孫』が神武天皇
聖典三部
饒速日尊のことをまとめると…
死亡:饒速日尊は亡くなっていた
東征:神武天皇は東征してきた
略奪:分家が本家を乗っ取った
状況は把握出来ても、饒速日尊自体のことはほとんど分かりません。
まぁ、謎深きことが饒速日尊の魅力でもあるのですが…
しかし、面白いことに、これと全く同じ話が古事記・日本書紀に記載されています。
饒速日尊の正体
さて、ここで結論を述べますが…
饒速日尊の正体は雄略天皇です。
雄略天皇は兄弟を排除した後、即位します。
市辺押磐皇子も殺害された兄弟の一人。
命の危険を察した市辺押磐皇子の子供である『袁祁と億計』は西に逃れます。
復讐に燃える袁祁と億計は、雄略天皇のいる大和に東征。
しかし、雄略天皇はすでに亡くなっており、大和入りした袁祁と億計は即位。
これが23代顕宗天皇、24代仁賢天皇です。
そして、このことが示すことは…
死亡:雄略天皇は既に亡くなっていた
東征:顕宗・仁賢は西からやってきた
略奪:顕宗・仁賢は本家を乗っ取った
同族・死亡・東征・略奪。
神武東征とまったく同じです。
従って、東征し、大和國の支配者になった、顕宗天皇・仁賢天皇が神武天皇のモデル!
さらに、東征前に亡くなっていた大和國の王『雄略天皇』こそが饒速日尊のモデルです!
しかし…
複数いる饒速日尊
天孫である瓊々杵尊のフルネームは…
瓊々杵尊より前は、尊称・敬称の連続。
従って『瓊々杵尊』だけが純粋な名前です。
それに対し、天孫の饒速日尊のフルネームは天照国照彦天火明櫛玉饒速日尊。
これをよくよく見てみると…
神名 | 種別 | 備考 |
天照国照 | 敬称 | |
彦天火明 | 名詞 | 籠神社の神 |
櫛玉饒速日尊 | 名詞 | 物部氏の祖 |
名詞に『別の名詞』が続く不自然な日本語。
さらに、切る場所を変えると…
神名 | 種別 | 備考 |
天照国照彦 | 名詞 | 不明 |
天火明 | 名詞 | 瓊々杵の子 |
櫛玉饒速日尊 | 名詞 | 物部氏の祖 |
今度は『3人の名前』が出てきます。
さらに…
神名 | 種別 | 備考 |
天照 | 名詞 | 太陽信仰 |
國照 | 名詞 | 大地信仰 |
彦天火明 | 名詞 | 籠神社の神 |
櫛玉 | 名詞 | 忌部氏の祖 |
饒速日尊 | 名詞 | 物部氏の祖 |
どこで区切るかの解釈は分かれるのですが…
いずれにせよ、饒速日尊は『複数の人物』が合祀された複数の神なのです。
にわか知識で書籍を乱発する作家にとっては『饒速日尊=雄略天皇』でも衝撃でしょうが…
歴史書を『読めば分かる程度』の謎解きでは納得出来ません。
そこで、合祀された中でも、雄略天皇以上の超大物を引っ張り出したいと思います。
ただ、1回2回で書ききれる量ではない為…
数回に別けて記載していきます。
新シリーズ『焔の軌跡』の始まりです!
籠神社へのアクセス
籠神社
〒629-2242
京都府宮津市大垣430
京都丹後鉄道天橋立駅から路線バスに乗車。神社前にて降車。