香取神宮 出雲の国譲りにおける武神
香取神宮(かとりじんぐう)は千葉県香取市に鎮座するご聖域。
全国にある香取神社の総本宮だけではなく、宮中の四方拝でも遥拝されるスゴい神社。
しかも、伊勢、鹿島につづく第三の神宮!
今回の神社の杜では、香取神宮の見どころ、秘話などを写真と共にお送り致します♪
香取神宮の見どころ
香取神宮へは、JR成田線・佐原駅下車後、タクシーかバスに乗換えればスグ。
私の場合、駅前の水郷佐原観光協会案内で、レンタサイクルを借りて行きました。
佐原と言えば「江戸優り」と謳われるほどに栄えてた水郷の里。
埼玉県の川越市もいいですが、佐原市の方が江戸の雰囲気を感じられるのでお勧めです。
朱塗の大鳥居
レンタサイクルを漕ぎ、大鳥居に到着~
大鳥居の朱色と周囲の老杉の緑とが、綺麗に調和しています。
ちなみに、もう一つ素晴らしい鳥居があるのですが、それは最後のほうで♪
総門
朱塗の大鳥居の先には、軽い登り坂であり、左右に桜が開花し始めています。
満開だと綺麗なんでしょうね。
そして、坂を登り切った場所にあるのが…
総門。
昭和15年に今の総門を造営。
令和という『御代替り』を迎えるにあたり、総門塗替工事が行われたそうです。
楼門
総門の先にあるのが、楼門。
通常、随神さまが鎮座しているものですが、香取神宮の場合は武内宿禰、藤原鎌足。
ちなみに、楼門の正面には…
東郷平八郎の直筆が!
海軍マニアには必見です♪
拝殿・本殿
拝殿が見えてきました!
関東では非常に珍しい檜皮葺であり、さらに黒漆を基調としながらも極彩色で鮮やか。
昭和のころまでは丹塗りだったそうですが…
現在の黒漆の方が格好いいですよね。
そして、こちらが本殿。
本殿は1700年に造営された三間社流造り。この形式では国内最大級の規模です!
なお、香取神宮では…
この神様をご祭神としてお祭りしています。
祈祷殿
社殿右手側にある祈祷殿。
1700年に5代将軍徳川綱吉時に造営された旧本殿で、朱塗りの造り。
彫刻が随所に施されており、江戸期としては比較的立派な拝殿。
昭和大修築の際、今の地に移築されました。
練習艦かとりの錨
練習艦"かとり“の錨(いかり)
かとりは海上自衛隊の船で、旧海軍の戦艦、練習艦に続き3代目。
除籍になるまで多くの幹部自衛官を輩出し、廃艦に伴い、錨を香取神宮に奉献。
ちなみに、私が初めて作った戦艦プラモも、2代目の香取でした(笑)
奥宮
奥宮は、境内西方に鎮座する境外摂社。
現在の参道は、現社殿のための参道ですが、古くは奥宮へと続く道が表参道でした。
ご祭神は、経津主神の荒御魂(あらみたま)
社殿は伊勢神宮の古材を使用しています。
要石
次に、要石(かなめいし)
かつて、地震は地に棲む大ナマズが起こすと信じられていました。
その大ナマズを抑え込むのが要石。
香取神宮は凸型ですが、鹿島神宮は凹型で、同様の説話が伝えられています。
津宮浜鳥居
経津主大神が上陸したことに由来する場所に建てられた津宮浜鳥居。
ブログの冒頭で述べた素晴らしい鳥居とは、この津宮浜鳥居のことです。
何だか、本当に神が住まう聖地に行けそうな感じですよね。
なお、式年神幸祭ではここから神輿を乗せ、御座船が出発します。
経津主神はなぜ関東に?
香取神宮の祭神である経津主神(ふつぬし)
経津主神は出雲の国譲りや、葦原中国平定で活躍したトップ・オブ・ザ・武神です。
あれ~?
鹿島神宮の武甕槌神じゃないの~??
と思われたかも知れません…が!
将軍(マスター)が経津主神で、武甕槌神は副官の一柱に過ぎません。
武甕槌神 副官
しかし、経津主神は神話の世界では消され、武甕槌神ばかりが目立っています…
それはナゼでしょう?
その答えは、大化の改新です。
もともと経津主神を祖神とするのが物部氏。
その物部氏の部下に過ぎなかった一豪族が、藤原氏(中臣氏:祖神は武甕槌神)
しかし、物部氏宗家が蘇我氏に滅ぼされて、蘇我氏も藤原鎌足に滅ぼされます。
この後の藤原家の繁栄はご存じの通り。
古事記・日本書紀の編纂の時でも、藤原氏が絶大な権力を握ります。
当然、藤原一族にとって都合の良いように、神話を書き換える権力もありました。
このことを考えると、もともとの古事記は、物部の経津主神が主役だった…
しかし、物部氏が滅亡したことを利用して、主役を藤原の祖神・武甕槌神に差し替えた。
そう考えるのが自然です。
ただ、それでも、出雲神話や日向神話などの西日本が中心となる神話の世界において…
なんで、関東の武神が出てくるの??
そんな疑問が出てきます。
しかしながら、出雲神話や日向神話における重要人物ほど、何故か関東出身が多いです。
さらに不思議な事に、関東出身の末裔ほど、その後何百年も一切活躍もしていない…
しかし、その関東出身の末裔達ほど、何故か古墳~飛鳥期になって大活躍しています。
経津主神 物部氏 出雲の国譲り
武甕槌神 藤原氏 出雲の国譲り
私はこれまで出雲王朝とは出雲國ではなく、奈良(大和)であると主張してきました。
そして、神々の活躍と、古墳~奈良における不思議な一致を考えると…
出雲の国譲りを初めとする「神話の世界」は、関東出身の豪族が活躍した時代。
それも、わずか100年で何度も王朝交代した時代。
継体天皇の即位 筑紫の磐井の乱
丹波・尾張系の宣化・安閑の断絶
欽明天皇の即位
古墳時代後期から奈良・飛鳥時代。
雄略朝の滅亡と、継体天皇による王朝交代。皇統の祖となる欽明天皇の即位。
この時代に起きた事を神話調に描いたもの。
それも大昔の出来事かのように描いたもの。
それが…
なのかも知れません。
香取神宮のまとめ
…と、まぁ、色々とお話しましたが…
全国にある香取神社の総本宮だけではなく、宮中の四方拝でも遥拝されるスゴい神社。
さらに、国の登録有形文化財にも指定される絢爛豪華な社殿。
それが…
香取神宮です。
古事記・日本書紀における神話を読んでから訪れるとより楽しめます。
近くには観光地の佐原もあるので是非~♪
香取神宮の写真ギャラリー
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香取神宮へのアクセス
香取神宮
〒287-0017
千葉県香取市香取1697