御井神社 八上姫の正体
御井神社(みいじんじゃ)は島根県出雲市に鎮座するご聖域。
出雲神話に登場する八上姫と、その子である木俣神(御井神)にまつわる神社。
さらに、安産の女神として信仰されている、女性にとっては嬉しいパワースポット!
そんな御井神社にまつわる『古代史の謎』を写真とともにお送り致します♪
御井神社の見どころ
御井神社のアクセスは、山陰本線・直江駅で下車した後、タクシーを利用します。
徒歩でも良いのですが、40分もかかるのでタクシーがお勧めです。
ちなみに乗車時間は8分ほど。
御井神社は、田んぼが広がる場所に鎮座するのどかな神社。
すみずみまで管理されている神社で、参道もとても綺麗です。
しあわせを祈る撫でうさぎ
参道の途中に、何だかしあわせになれそうな『撫でうさぎ』がいます。
うさぎはピョンと飛ぶことから運気を上げ、長い耳も福を集めるとされる幸運の動物。
しあわせを祈ってくれるそうなので、ここは遠慮なくナデナデさせてもらいました。
ハート型のローズクォーツもお腹にあって、恋愛運にもご利益がありそう!
撫でうさぎの隣には、お子さんを抱っこした八上姫像があります。
八上姫は母性溢れる女神さま。
独身はもとより、既婚者の女性にとっても、ご利益が頂けます♪
拝殿&本殿
こちらが御井神社の拝殿。
ご祭神は八上姫のお子さんである木俣神。
木俣神は安産とともに水の守護神でもあり、女性の守り神でもあります。
そして、本殿のお姿が…
…と言いたいところですが、本殿は改修中!
代わりに、本殿横にある社日さんを撮影。
六角形の角柱に6柱の神名が刻まれており、出雲地方特有の摂社です。
三つの井戸
御井神社は名前の通り、井戸に関わる神社。
実際、近くには3つの井戸があります。
それぞれの名称は下記の通り。
福井 (さくい)
綱長井(つながい)
まずは、生井(いくい)
生気ある井戸で、子安、病気平癒のご利益。
駐車場のすぐ南側にあります
次に、福井(さくい)
生井から50m南に進んだところにある井戸。
栄える井戸で、母子の発展、家運隆昌の象徴です。
最後に綱長井(つながい)
つるべの綱の長い井戸であり、母子の長寿、家内安全のご利益があります!
場所は鳥居を出て北に50m進んだところ。
そして、この井戸を使って生まれた子こそ、御井神社の木俣神なのです♪
ちなみに、木俣神は『このまた』と読んで、またの名を御井神を『みい』と言います。
そして、八上姫は母性溢れる女神様なので、母子ともにご利益満載の聖域なのです…
が、しかし…
其八上比賣者、雖率來、畏其嫡妻須世理毘賣而、其所生子者、刺挾木俣而返。
本妻である須勢理毘売を恐れ、生んだ子は木の股に挿し挟み、因幡へ帰った。
八上姫は本妻である須勢理姫の嫉妬を恐れ、木俣神(御井神)を捨てて失踪します。
やっている事は、母性溢れる女神とは真逆の育児放棄…
さらに、すぐ捨てたので、子供の性別自体も不明のまま。
当然、何をしたかも不明という、母子ともに行方知らずの神さまなのです。
八上姫の正体
そこで、ここから八上姫の正体を迫りつつ、木俣神の正体に迫っていきたいのですが…
その前に、もう少し細かく『八上姫の話』をご紹介します。
出雲神話
まず、出雲の大國主命(おおくにぬし)は、八百万の末っ子として生まれます。
その後、絶世の美女・八上姫と結婚するも、結婚したことを兄に恨まれ、国外へ逃亡…
そこで、スサノオの元へと逃げ込みますが、この時に出迎えたのが須勢理姫。
出会った瞬間、二人のハートは燃え上がり、そのまま結婚!
その後、スサノオの支援を得て、兄を征し、出雲の王となります。
この時、八上姫はすでに臨月を迎えており、木俣神(御井神)を出産。
しかし、須勢理姫の嫉妬を恐れた八上姫は、子供を木の股に挟んで失踪します。
その後、八上姫の行方は分かっていません。
まったく同じ日向神話
上記の出雲神話を理解した上で、日向神話を解説します。
まず、日向國の山幸彦(やまさちひこ)は、末っ子として生まれます。
しかし、兄の大切な道具を紛失してしまい、兄の怒りを買い、国外へ逃亡…
海神(ワタツミ)の元へと逃げ込みますが、この時に出迎えたのが豊玉姫。
出会った瞬間、二人のハートは燃え上がり、そのまま結婚!
その後、ワタツミの支援を得て、兄を征し、日向の王となります。
この時、豊玉姫はすでに臨月を迎えており、鸕鶿草葺不合尊を出産。
しかし、出産時の禁止事項を破った山幸彦に豊玉姫は激怒し、子供を置いて失踪。
その後、豊玉姫の行方は分かっていません。
出雲神話 | 日向神話 | |
父親 | 末子 | 末子 |
母親 | 失踪 | 失踪 |
子供 | 捨てられる | 捨てられる |
さて…
何が言いたいか、お分かりでしょうか?
神話の本質
既述の通り、2つの話はまったく同じです。
では、何故こうなったのかというと…
┌-┴-┐
出雲神話 日向神話
もともとあったオリジナルの話を、出雲では出雲地方に合わせてアレンジ。
日向でも、日向地方に合わせてアレンジしたからです。
その為、出雲神話と日向神話は同一のもの。
つまり…
八上姫 = 豊玉姫
木俣神 = 鸕鶿草葺不合尊
ただし、出雲神話も、日向神話も、いずれも二次創作でしかありません。
しかも、肝心の結末が削除されている神話!
従って、オリジナルの内容が分かれば…
木俣神の正体
これも分かるのです!
御井神社のまとめ
八上姫と木俣神が関わる出雲神話の舞台は、出雲國ではありません。
しかし、オリジナルの伝承に深く関わる者が出雲に流れ着き、創建したのが御井神社。
実際、出雲風土記に御井社として記録される屈指の古社です。
では、オリジナルとは何でしょう?
それは、決して怪しげな古史古伝ではなく、ある意味で正統なものです。
そして、ヒントとなるものは御井神社と同じ出雲國の神社にあったのです!
続く…
御井神社の写真ギャラリー
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御井神社へのアクセス
御井神社
〒699-0631
島根県出雲市斐川町直江2518
JR山陰本線・直江駅からタクシーで5分程。